第2章 初めまして
「起きましたか。」
キィっという音とともに、男性の声が聞こえた。
真っ白い壁から、音のする方へ視線を向けると
そこには金髪で、褐色の肌を持つ男性がコップを持って立っていた。
見覚えのない、その男性に少女は疑問符を浮かべる。
外国人さん?
でも、聞こえてきたのは日本語だし…。
キラッと輝く碧い瞳が、少女の目を優しく見つめた。
「起きられそうですか?喉、乾いたかと思いまして。」
少女の寝ているベッドに近づきながら、男性は言葉を綴る。
不思議そうな顔をする少女の瞳は、変わらず光を帯びていない。
それに気づきながら、男性はふわっと笑みを向ける。
「今度は睡眠薬、入れてないので。」
受け取ったコップを怪訝そうに見つめる少女に、そう告げると
少し驚いた表情を男性に向けた。
「……ここは、どこ?」
コップに口は付けず、辺りを見回しながら少女は問いかける。
いつもの大きな窓がないの、と少し寂しそうに呟いた。
そういえば、少女のいた部屋には大きな窓があったなと
あの屋敷を思い出す。
もし、あの部屋から出ずに生活していたのだとしたら。
外を眺められない今の部屋は、さぞ不安なのだろうと男性は思った。