第2章 初めまして
夢を見ていた。
いつもみたいに、ベッドに腰掛けながら傍にある窓から外を眺めて。
この窓からは、たくさんの大きな木が眼前に広がるだけで
他に見えるものはない。
それでも、よくその木を見つめると
小さな鳥が羽休めしているところを発見できたりした。
いろんな色の鳥がいた。
黒かったり、緑っぽくて見つけにくい鳥だったり。
中には大きくて、止まるだけで木がざわっと揺れる鳥もいた。
毎日、何時間も外を眺めるのが日課だった。
でも、退屈に思ったことは不思議となくて。
色とりどりの鳥達や、流れる雲を眺めるのが大好きだった。
でも、その光景が大きな赤い色で塗りつぶされていって…
気づくと、自分の部屋も赤くなっていっていて。
すごく、悲しい気持ちになった。
私の全部が、消えていくような感覚に陥った。
「……消さないで………」
漏れた声が耳に届いて、私はそのまま瞼を開ける。
目の前の天井は真っ白で。
隣に視線を向けても真っ白で。
そこにいつもの大きな窓がないことを、寝ぼけた頭で確認をする。
ここは、どこだろう。
私の窓は、どこに消えたのだろう。
ふわっとした頭で、いつもの窓を思い出すと
先ほどまで見ていた夢も、鮮明に思い出した。
あの赤い部屋はなんだったのか。
視界いっぱいに広がる赤が、脳裏にこびりついている。
横になったまま、うーんと考えてみるもよくわからない。