• テキストサイズ

【HP】怪鳥の子

第55章 暗闇でも見つけて


「僕……正しいことを押しつけたいとか…えっと…そうしたいんじゃなくて、君がアズカバンに送られるのが絶対に嫌なんだ。それに----両親があの呪文でどうなったか----だから尚更、使ってほしくないんだ」

 ネビルは一度話を切ると、大きく息を吸い込んだ。

「僕は弱虫だし、頭もよくないし、それにドジだし……あと、頼りないかもしれないけど…それでも、君を止めたい」

 ミラは息を呑み、ネビルを見つめた。いつもオドオドして、弱気なネビルの印象が強いせいか、目の前にいるネビルが本当にネビルなのかと疑いたくなった。

「もし----もし誰にも言えないなら…僕、聞くから。だってミラ、あの時…すごく苦しそうに見えたから…」
「…」
「僕は弱虫だけど----逃げないから」

 真っ直ぐに向けられたネビルの瞳に、ミラは胸が締め付けられるような気持ちになった。

「----ネビルは、私より勇気があると思うよ」
「え?」

 ミラは眩しいものを見るかのようにネビルを見つめた。

「一年生の時も立ち向かってきたの、覚えてる?」
「あ、あれは君たちが…また寮を抜け出すと思って…」
「それでもだよ。ダンブルドア校長の言ったこと忘れた?」

 ネビルは照れくさそうに首を小さく振った。

「…そういうこと。友達に立ち向かう勇気は、私よりあるよ」
「そう、かな…?」
「いざって時、ネビルのこと頼りにしてる」
「えぇ!?」

 信じられない、といった顔で驚くネビルは忙しなくあちこちを見始めた。ミラはその様子が面白くて、口元を緩めた。

「今度スネイプが私に嫌がらせしてきたら、助けてくれる?」
「そ、それは無理だよ!」

 ネビルは顔を真っ青にさせて首を振った。

「僕、薬草学なら他の科目より得意だから----君がもし、助けが必要ならだけど…」
「ネビル、薬草学が得意だったんだ」
「うん」
「じゃあ----今度、薬草学の宿題出たら手伝って」
「う、うん!ま、任せて!」

 ネビルの声は裏返っていたが、ここ数日見た顔の中で一番の笑顔だった。ミラも小さく笑い、二人は城の中に入った。
/ 762ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp