第2章 【第二講】第一講から遡ってる(略)番外編みたいなもんだから
銀魂高校3年Z組、朝のホームルーム前。
その日も、いつもと変わりのない騒がしい教室内。
ゴリとマヨとドSは教室の真ん中でくっちゃべり、ロン毛の男子は一人ぽつんと黒板を見据えてジッとしている。
渦巻きメガネっ子と猫耳の留学生コンビが取っ組み合いの喧嘩を始めれば、メガネが止めに入って二人にぶん殴られる。
それを目撃した姉は笑顔で猫耳を両手で鷲掴みにし、その体を黒板に放り投げた。
それをひらりとかわす、3Z担任。坂田銀八がやって来た。
「ホームルーム始めるぞー」
黒板に顔面を強打し、真横で伸びている猫耳女子をガン無視し、銀八は教卓の前に立つ。
「きりーつ! れーい! ちゃくせーき!」
本日の日直、風紀委員長の号令で朝の挨拶がなされる。
この時ばかりは皆、大人しく、その声に従う。
いわゆるひとつのメークミラクルの瞬間だ。んー、そうですねェ。え、元ネタがわからない? わかろう!
「えー、ホームルームを始める前に、みんなに紹介したい奴がいる」
ズレたメガネの奥に鈍い瞳を携え、銀八は間延びした声を出す。
「入って来ーい」
扉に目を向ける銀八。その視線を追うように、猫耳を除くクラス全員の目が扉に向けられる。
一人の女子が教室の中に足を踏み入れた。銀魂高校のセーラー服に身を包んだ、大人しそうな女子。
転校生か。時期外れだな。皆そう思いながら、その姿に視線を送る。
女子生徒はゆっくりとした足取りで、教卓の横に立つ。
そこには未だ伸びている猫耳女子が転がっていた。
「ニャンボワザァ!」
と、妙な呻き声が上がる。
「今日からこのクラスに入る、□□○○だ」
銀八の紹介の後、○○は口を開いた。
「□□○○です。よろしくお願いします」
清楚な雰囲気で頭を垂れる○○。
だが、生徒達の視線はその顔ではなく、足元に注がれた。
美しいお御足に……ではなく、醜い猫耳。いや、猫耳限定なら可愛い! かな?
揃えられた両足は、猫耳装備の最悪娘キャサリンの背中に乗っかっている。
「何シテンダテメェ。今スグドカネートブッ殺スゾ!」
ガラの悪い言葉が足元から届き、○○は驚いて視線を落とした。
目を見開き、叫ぶ。