第4章 【第三講 後半】そして棒倒し……
神威は高杉に笑いかけ、再戦を申し入れる。
再戦の方法は棒倒し。星海坊主と交わした、棒倒し以外はやらないという約束に則った手段。
高杉は赤組の棒を目掛けて走り出した。あの棒を倒せば、高杉の勝ち。
そんな高杉の背中を、神威は追って走り出した。神威はあくまでも、血みどろの殴り合いを望んでいる。
高杉は赤組の棒を倒しに、神威は高杉を倒しに、残りの夜兎工の二人は白組の棒を倒しにかかる。
「新八くん! しっかり守れェェェ!!」
約一名、殴り合いをしようとしている輩はいるが、他の者はあくまで“棒倒し”に取り組もうとしている。
ならば、自分の出番はもう終わり。○○は再び一傍観者としての立場に戻り、声援を送る。
「ムリーッ!!」
阿伏兎と云業に攻めたてられ、白組守備陣は崩壊寸前。新八は弱音を吐く。
最早、白組の棒が倒されるまでは時間の問題――そうなると、先に赤組の棒を倒すしかない。
赤組の棒には、高杉が向かっている。土方ら気鋭の攻撃陣も最前線で戦っている。
高杉と土方がタッグを組めば……いや、○○としてはあの二人のコンビなど見たくないような気がするが、二人ならば、どうにかしてくれそうな予感はする。
だが、時は、敵は待ってはくれなかった。
「近藤さん!!」
白組の棒に乗っかって防御をしていた近藤が、阿伏兎の蹴りで宙を舞った。