第4章 【第三講 後半】そして棒倒し……
「……!」
そして再び、新八の胸倉を掴む。
「悪ィが待ちくたびれた。やっぱり、テメェの手を折らせてもらうぜ」
「やめなさい!!」
○○は再び松葉杖を構え、切っ先を阿伏兎に向けた。
「○○さんんん! 撃たないで下さいいいい!!」
新八は目を引ん剥いて懇願する。その異様な形相を見て、○○の手は固まった。
撃ったら何をされるかわかったものではない。怒った時の新八は、割と怖い。
その表情に、阿伏兎すらも頬を引きつらせた。
新八は直感した。次の一発も、自分に向けて発射される。気がする。何となく。
「なーに、すぐ済むさ」
阿伏兎は薄く笑い、さらには神威も声を上げた。
「おーい、高杉くーん。今どっかで見てるなら、早く出ておいでよー」
言いながら、神威は○○に近づいて行く。
高杉以外にも3Zにはおもしろそうな奴がたくさんいるみたいだと、神威は思っていた。
○○もその一人として、カウントされた。
○○は松葉杖を一本捨て、片方だけを構えた。
こちとら剣道部。竹刀が杖に代わっても、やってやれないことはない。
だが、○○とはやや距離を空けたところで、神威は立ち止まった。
神威の視線は、○○の斜め左後方へと注がれている。
○○は体を捻り、背後へ目を向けた。
「高杉くん」
棒倒しが始まる前から捜していた姿が、目に映った。