第5章 ゼノ=ジェラルド
それから数ヶ月後。
城の設計が出来上がり建築が始まった。
今日はその土地の神様にそこに建物を立てることを報告する儀式が行われる。
街に向かう馬車の中、私は強い吐き気に見舞われた。
ゼノ「馬車を停めろ!」
ゼノ様に付き添われ外に出る。
道端に嘔吐してしまう私の背中を摩ってくれる。
ゼノ「一番近い医師の元へ。」
御者に伝える。
キャリー「ゼノ様っ!私なら大丈夫です。街へ…」
ゼノ「無理はするな。最近食事も余り採っていないだろう。」
確かに。ここの所、熱っぽく食欲もあまりない。
病院に着くと色々と問診され診察が行われた。
先生「ご懐妊ですな。」
キャリー「………え?」
ゼノ「………懐妊?」
思いもよらなかった先生の診断に2人で言葉を失う。
先生「プリンセスの話によると、月のものの最後がこの辺りだったので…予定だと春…桜の季節になりますね。」
看護婦「おめでとうございます!この場に立て会えて光栄ですわ!」
ゼノ様が私の下腹部に手のひらを当てる。
ゼノ「キャリー…。これから2人で守るべき物が増えたな。」
ゼノ様を見上げにっこりと微笑むと目尻から涙が溢れる。
桜の季節。
私たちは家族になり新しいスタートを切った。