第8章 【第七訓】原作第十九訓と第二十訓の間の話
「いったたたた」
中腰で腰をさする。
見上げると、目の前にはコンクリートの坂。
大人でも横になって転がれる程の幅がある大きな滑り台。
そこから転がり落ちたらしい。
周囲にはブランコ、砂場。
「……公園?」
○○は首を傾げる。
こんな場所に来た覚えはない。
○○は立ち上がった。
「いたたたた」
腰だけでなく全身が痛い。
コンクリートの上で一晩寝ていたかのように、節々が痛む。
恐らく実際に寝ていたのだろう。
滑り台の上に○○は自分の荷物を見つける。
「よかった。無事だ」
お金や着替え。
屯所を出る時に詰め込んで来たものは、紛失せずに残っていた。
荷物は無事でも、自分の状況は把握出来ない。
ついさっきまで、万事屋の前にいたはずだ。
銀時に追い出され、しばらく玄関前で待機していた。
それ以降の記憶がない。
こんなことが前にもあった。万事屋で目を覚ました時だ。
あの夜も銀時に連れて帰ってもらわなければ、どこか野っぱらで一晩明かしたに違いない。
なぜ、夜になってからの記憶がないのだろう。
これは、記憶を失ったことと関係があるのだろうか。
それにしても、今が初夏でよかったと安堵する。
真冬だったら、凍死している可能性もある。