第7章 【第六訓】人生ってオッさんになってからの方が長い話
「○○ちゃーん? なんでこんな所にいるのかなァ?」
「私、□□○○は、銀さんに昔のことを聞き出すまで、ここに居座る決意をしました」
淡々と紡がれた言葉に、銀時はさらに眉間をひくつかせた。
銀時は向かいのソファに腰を下ろす。
「それに、言うことがあんだろ。見えねーのか、これ」
銀時は自分の顔を指さした。
押さえた右手の指の隙間からは、まだ赤いものが流れている。
「すんません。チャンバラごっこも、度が過ぎれば危険ですね」
○○はペコリと小さく頭を下げた。
銀時の隣に腰を下ろし、神楽は足を組んで踏ん反り返る。
「今ここは戦場になってたアル。そんな所で、ちんたらやってた銀ちゃんも悪いヨ。何が起こるかわからない。私が蹴った○○の木刀が顔面に飛んでったからって、怒る資格もないアルヨ」
「おめえじゃねーか! 元凶は!」
銀時の怒鳴り声にも、神楽は素知らぬ顔で口笛を吹いていた。
「それより、○○、テメェは帰れ。今すぐ帰れ」
ようやく血が止まりつつあるらしく、銀時はティッシュで手のひらと鼻を拭いている。
「言ったじゃないですか。昔のことを聞き出すまで、帰るつもりはありません」
ツンと視線を天井に向け、○○は頑なに拒む表情を見せた。
銀時は立ち上がり、○○の腕を掴み上げた。
「出てけ!」
「いーやーでーす!」
「出てけって!」
「嫌ですってば!」
ソファに根を生やしたように、いくら引っ張っても○○の体は動かない。
銀時は一度○○の腕を離すと、そのまま後ろに回った。
「ギャッ!」
途端に○○の体は床に叩きつけられる。
銀時はソファごと○○の体をひっくり返した。
その隙に体を持ち上げる。
「離せ! バカ! 変態!」
「暴れるな、テメェ!」
そのまま玄関へと運ぶ。
先程まで楽しく遊んでいた友達が強制撤去されているのに、神楽はその様子を見ながら、くちゃくちゃと酢昆布を食べている。