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~月夜の紅~ 銀魂原作沿い小説

第7章 【第六訓】人生ってオッさんになってからの方が長い話


「けえったぞー!」

 銀時は床に腰を下ろし、ブーツを脱ぐ。

「あのバカのせいで疲れてしゃーねェ。あのバカが。バカ皇子が」

 銀時は暇を持て余し、知人である長谷川のタクシーに無賃乗車していた。
 そこで、かつて長谷川からの依頼を介して顔見知りになった央国星のハタ皇子と遭遇。
 依頼の際に、長谷川も銀時もハタ皇子とは一悶着あった身。
 どうにかやり過ごそうとしたがまた一悶着起こり、疲れて帰って来た。

「神楽! いねーのか?」

 肩をぐるんぐるんと回しながら、リビングへ向かって声を上げる。

「ほァちゃー!」
「いるじゃねーか。何騒いでやがんだ」

 銀時は声を張り上げた。

「おい、神楽! 銀さん、疲れてんの! 茶の一杯でも入れてくれや!」
「ほんわちゃー!」

 しかし返事はなく、聞こえて来るのは神楽の妙な奇声だけ。

「聞こえてねーのか?」

 腰を上げ、銀時はリビングへと向かう。

「おい、かぐ――」
「わちゃ!」

 戸を開いたと同時に痛みが顔面を襲った。

「あ、銀ちゃん!」
「……あ」

 銀時は顔を押さえてうずくまった。鼻が痛い。
 覆っていた右手を離してみると、手のひらは赤い液体で塗りたくられていた。

「あ、鼻血ネ!」
「神楽ァァァ!」
「私違うヨ! ○○ネ!」

 神楽の指さす方を見てみると、何食わぬ顔で、ちゃっかりとソファに座っている○○の姿があった。
 銀時は眉間の皺をひくつかせながら、○○の前に歩み寄った。
 鼻を押さえているので、鼻声になりながらも銀時は言葉を発する。
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