第15章 お決まりでしょうか◉轟END
「ありがとう」
そう送信した吹き出しの下には「一生感謝しろや」の文字、締め付けられる胸の痛みにお別れする決心をして、そっと画面を閉じる
「轟くん、紅茶で大丈夫かな?」
「何もいらねぇから、早くこっち来てくれ」
淡い色のシーツに腰掛けた彼が、熱の籠った視線をこちらに向けている
なんだか居心地が悪くて私はもじもじと視線を落とした
「来たかったんだ、めぐの部屋」
すげぇ嬉しい、そう呟いてそのままごろりと寝転んだ轟くんは、幸せそうなその顔を枕に埋める
「・・めぐの匂いがする・・」
「もう、本当に・・!」
「俺もここに住んでいいか」
「そういうのはもう少し経ってからね・・!」
「わかった、でも合鍵は欲しい」
今日欲しい、揶揄うように目を細めた彼はその隣をぽんぽんと叩いて、砂糖菓子のように甘い声で私を誘った
「隣には来てくれねぇのか」
「え、だって、なんか・・」
「爆豪が手握ってただろ、まだ腹が立ってる」
静かな怒りを隠さずにへの字に曲がる口元、
戻れない予感と少しの恐怖に胸を震わせながら、私はその腕に飛び込んでいくのだ
「おいで」
伸ばされた腕に触れた瞬間、くるりと反転した視界
目元を赤く染めた彼が私を見下ろしている
「ほら、やっぱり・・!」
「・・・幸せで、泣きそうだ」
「ぁのっ、轟くん・・っ」
「焦凍、がいい」
耳元で囁かれる掠れた声に一瞬で火照った身体、この夜は決して私を逃してはくれない
シーツに押し付けられた手にはゆっくりと指が絡んで、彼の瞳にじっと見つめられるとどんな言葉も封じられてしまうみたいだ
「っはぁ、やばいな・・」
「・・あの、手加減よろしくね、?」
「悪ぃ、泣かしちまうかもしれねえ」
その言葉の通り、繋がった身体はどこまでも溶け合って、想いの丈を吐き出すような激しい律動がベッドを軋ませる
「ねぇ焦凍・・っ、待って」
「待たねぇ、めぐ、すげぇ可愛い」
「や、そんなにしちゃ・・っ、」
蕩けるような優しい口付けとは裏腹にその行為はどこまでも激しく奥を求めて、快感に流れた涙を優しい唇が拭う
「愛してる、ずっと、大切にする」
意識の途切れる寸前、汗ばんだ彼は幸せそうに微笑んで、私の髪を梳いた