第25章 苛まれる
保健室に戻り、硝子を問い詰める。
「恵が言うには七海が迎えに来たらしい。おまえだろ、七海に教えたの。」
「昼間メッセージ送った。だけど、裏庭にいるから迎えに来いなんて言ってないわよ。恋が自分から連絡したんじゃない?」
自分から………か。
スマホを取り出し、七海にかける。
「はい、七海です。」
「僕だけど。」
「五条さん。」
「僕の女、おまえが連れ去ったんだって?」
「はい、ここにいますけど。」
「返してよ。」
「本人が嫌だと言ってます。」
「今何してんの?」
「泣いています。」
「おまえの胸で?」
「以前、私が言ったこと覚えていますか?今度泣かせたら奪うと。」
その言葉に一瞬怯んだ。
「お前、今から恋とヤルの?」
「とりあえず今夜はウチに泊めます、では。」
そして通話は切られた。
「アイツ………」
「自業自得。」
硝子がタバコの煙をくゆらせながら言った。
「あー!僕の大事な恋ちゃんがぁぁぁぁ。」
頭を抱え、ベッドに突っ伏した。
「うるさいな。恋だってそんな風に大声出して暴れたかったと思うよ。」
「わかってる。僕が悪いんだろ。」
「まっ、そういう事。」
「うわぁー、七海が恋を……犯しちゃうよぉー!」
「七海をアンタと一緒にするな。」
「おまえも七海の味方なの?」
「おまえもって何?まさか、恵に何か言われた?」
「これ以上、傷口を広げるな。」
「広げまくって塩塗り込んでやる。」
「おまえ、絶対Sだろ。」
「まあね。恋を泣かせたんだから報いを受けな。」
「恋が七海について行った事がぼくにとっての罰だよ。」
「まあまあ、五条くん。これでも飲んで元気出しなさい。」
硝子がウイスキーの瓶を出してきた。
それから保健室で硝子と酒盛り。
飲みながら恋にメッセージ送りまくってやった。