第4章 急接近
白雪が来てからのゼンは、日中執務室で仕事をこなすものの、気づけばそわそわしていた。
それを見兼ねたミツヒデは、兵たちの鍛錬に参加して身体を動かすことを提案し、木々、あかねと共に行くことにした。
「庭で見た?白雪を?」
兵のひとりが、休んでいたゼンにそう伝えた。
前では、あかねが兵を1人2人と倒していき、隣で手合わせする木々の、キンッと兵の剣を弾く音が響いていた。
「はい!昨日、巡回の時に!
他にも数人いましたが
花鏡の道の辺りで
自分、ひと目で白雪どのだと分かりました!」
嬉しそうに話す兵に
「…よかったな」
そう答えたゼンは
「あぁ
薬草園を使うのか」
「は?」
その夜…
「…何してるの?」
あかねはベランダから、部屋の外の木に立ち、下を見るオビに声をかけた。
「あ、あかね嬢。
いや、主がこんな時間に出かけるから、どうしたのかなって」
「ゼンが?」
あかねもオビと同じ木に移り、同じ方向を見ると
「ほんとだ……薬草園?
白雪のところに行くのかしら」
「白雪って、あのお嬢さんですよね?」
「そう。
あなたが脅して城から追い出そうとした、あの子。」
「はは、手厳しい…」
オビは苦笑いして言った。
「…ついてこ」
「はいよ、あかね嬢」
様子が気になったあかねは、ゼンの後をついて行くことにした。
すると、ゼンは薬草園の中を覗くように見ていたが、外の気配に気づいたのか薬草園の中に入り、その後何者かが薬草園の扉を閉めていた。
「……」
「捕らえますか?」
「いや…様子を見ましょう」
あかねは冷静に扉を閉めた男を見ていた。
「主、閉じ込められちゃいましたけど」
「大丈夫でしょ」
そう言い、あかねは薬草園が見える木まで近づき、腰を下ろした。