第10章 return
「じゃじゃーん!!
ちゃあんと圭介にもお土産ありまーす☆」
そう声高々に言ってペヤングを2つ、見せつけるように取り出した。
「いつものペヤング!!と!!
なんとっ!!獄激辛ペヤング!!!」
「獄…激辛…??
ほんとにお前食えんのかコレ?」
パッケージには、泣けるほど辛いのでどうのこうのと書かれていて、しかも鬼の絵柄も描かれている。
「なんかペヤング史上最強の辛さなんだって。コンビニのポップに書かれてた。」
「ペヤング史上最強?!?!」
「圭介が先に食べるんだよ!!」
「っ、なんだよそれ!俺を殺す気か!!
お前が買ってきたんだろ!
お前が先に毒味をしろ!!」
真剣にそう言う場地に、ランも真剣に返す。
「やだ、私のこと殺す気?」
「だったらなんで買ってきたんだよ!」
「なっなんでって…だって…
圭介と食べたかった…から…」
「・・・」
「・・・」
シュンとなって小さくなるラン。
妙な沈黙が流れてしまった。
「…あー…悪かった悪かった。
そーだよな。お前は俺とペヤング食うのが人生の楽しみなんだもんな」
そう言って幼子をあやすようにポンポンとランの頭に手を置く。
「や、そこまでは言ってないけどね?」
「だが、いくらそこまで言われてもこんなとこで命を削りたくねえからな。」
「なにそれ!去年バレンタインに渡した期間限定のチョコレート味のペヤングは食べてくれたじゃん!!ちゃんと完食してたし!」
「だっ…それはだって…」
(お前のくれたバレンタインはしゃーねーだろ!
くっっそまずくて吐きそーだったけどな!!)