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君と紡ぐ恋物語【鬼滅の刃】

第3章 君の笑顔が好きだから 煉獄杏寿郎


翌日朝飯を食べ終わると、千寿郎と紗夜は縁側で仔猫と遊び始めた。
俺はそれを横で座って眺めている。
因みに父上は用事があり今日は外出していた。

煉獄家に猫と遊ぶおもちゃは無いので、2人はその辺に生えていた猫じゃらしをプチっと抜き、それを使って遊んだ。
猫じゃらしをクネクネと不規則に動かすと、仔猫は面白い様に機敏な動きで後を追いかけていく。

「わぁっ!この子ちゃんと追いかけています!すごいです!」

初めて猫と遊ぶ千寿郎の目は輝いていた。
年相応の千寿郎の反応に兄として微笑ましく思う。

「ふふっ可愛いねぇ」

千寿郎と同じ様に猫と戯れ可愛いと言いながら遊ぶ紗夜。
もう見ているだけで俺が癒される。
無邪気に遊ぶ仔猫よりも、仔猫と戯れる紗夜の方が可愛いとか思ってしまう。
…変態か俺は。

「そろそろ昼ですね。俺この子のご飯を作ってきます」
「それなら私も行くよ?」
「紗夜さんは兄上とここで待っていて下さい。すぐ終わりますから。では行ってきます!」

千寿郎はタッと台所へ走って行った。
仔猫は遊んでもらって満足したのか紗夜の膝の上で大人しく頭を撫でられている。

「可愛いですね」
「そうだな」

紗夜は、最近とても綺麗になったと思う。
恋をすると女は変わると聞いた事があるが、紗夜の色恋沙汰は今まで聞いた事がなかった。
だが紗夜ももう17だ。
慕う男がいてもおかしくは無い。
いや、いるかどうかも分からないが、もしいるのならば一体何処のどいつなのか…
それが俺ならいいと、そう思ってしまって…
次の瞬間意図せずつい口からぽろっと出てしまった。

「君は…好きな男はいるのか?」
「………えっ⁈」

よもや!心の声が口から出てくるとは!
紗夜は顔を真っ赤にして驚いていた。
口をパクパクさせ、もはや言葉が見つからないと言った様子だ。

「すまん!今のは忘れてくれ!」
「ぇええっと…はい!」

この話はこれで終わりだと自分から断ち切ってしまった。
聞くのが怖かった。
紗夜の口から他の男の名が出てくる事が。
自分は案外臆病なのだと知った。

「お待たせしましたー!…兄上、紗夜さん、どうかしましたか?」

戻って来た千寿郎は、顔を真っ赤にしている俺達を見て、はて?と首を傾げた。
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