第39章 終幕―finale― 【完結】
荷物を抱えたまま駆け足で待ち合わせの場所に向かうと、その人が立って待っていた。
俺に気づくなり、優しく暖かい笑みを零す。
その姿に、胸が高鳴る。
やっと、やっとだ。
君にこの気持ちを伝えられる。
この3年間。
俺の事を、そばでずっと支えてくれていた。
九条が死んでから笑わなくなった俺が初めて笑を零した時、涙を流して喜んでくれた。
ずっとそばで愛を囁いてくれていた。
そんな君が、好きだ。
「沢山待たせてごめん。
今まで色々あったけど、ずっとずっと支えてくれて本当にありがとう。
俺はこれから、雪村と一緒に極道になる。
だから今まで以上に危険な立場になる。
それでも………………
あなたが好きです。
俺と、付き合ってください」
この先。
どうなるか何も分からない。
俺は沢山殺して、天国なんか行けない。行く先は地獄だろう。
それでも。
ねえ、凛。
俺も少しだけ、普通の幸せを手に入れてもいいかな?
優しく吹く夜風が、俺の頬を撫でた。
【完】