第39章 終幕―finale― 【完結】
DES・Row解散の噂はあっという間に東京のみならず他県にまで広まった。
某日、解散式が行われた。
深夜の繁華街の道路を、地鳴りのようなエンジン音を鳴らした大量の派手なバイクが走行する。
列の前後では、DES・Rowのロゴが刺繍された旗が靡く。
歩道には、元東京卍會だけでなく、かつて東京で猛威を奮っていた各集団の顔、そして今も名を馳せる男達がズラっと隙間なく並びその瞬間を見届ける。
伝説が終わる瞬間、そしてあの皇帝を一目見ようと多くの人が集まっていた。
すごい数だ、まるでオリンピックのパレードだ。違うのは、ギャラリーが不良まみれだという点くらいだろうか。
とにかく、それだけDES・Rowという組織は影響力が段違いだったのだ。
それを引っ張てきたさん。
皇帝という名がこれほどまでにハマる人間が他にいるだろうか。
否、今後も現れないだろう。
「……千冬、さん、いい顔してるな」
「…ああ、本当に」
隣で涙ぐむ千冬。
そして何を想っているのだろう、熱い視線でさんを見つめる三ツ谷くん。
バイクを降り、ギャラリーに向かってさんが叫んだ。
「本当にありがとうございました!!!!」
DES・Row全員で深々と頭を下げる。
周囲からの拍手が鳴り止まなかった。
その中に、かつて皇帝の右腕と呼ばれていた九条さんの姿はない。
あの未来は。
九条さんがさんの傍にいなかったのは、そういうことだった。
あれだけさんを寵愛していたあの人がそばにいなかったのは、
「ッ…………!」
「おわっ!なに急に泣いてんだよタケミっち」
「め、目にゴミが入ったんだよ!」
未来は。
あの人の未来は、きっと『まだ』変わっていない。
解散式が終わった。
集合写真を撮り、メンバーから色紙と花束を受け取った。
ほかの連中からも花束をもらったので、随分と大荷物になった。
「それじゃあみんな、元気でな。」
全員を見送った後、
スマートフォンを開く。
「……………もしもし、今どこにいる?
話したいことがあるんだ。今すぐに。
うん、わかった。今から行く」