第8章 大切で残酷な暖かい過去
変化に嬉しそうにエドゥアルは微笑んでいたものの、次には揶揄う様な笑みを浮かべていて
エドゥアル
「にしても…まーさか、お前が女遊び辞めるなんてなぁ」
そう。ユリスはレティシアの親代わりになってから女性と会うのをきっぱり辞めたのだ。
突っ込まれたユリスは決まり悪いのか新聞で顔を隠す
ユリス
「うるせぇよ。…一応あいつの親のつもりだからな。親がそんな事してたら嫌だろ」
エドゥアル
「そんな言葉が出てくるなんてびっくり…」
ユリス
「それに…俺まで裏切ったら、あいつは本当に笑わなくなる。2回も親に傷付けられたら可哀想だろ」
エドゥアル
「……今のお前の方が生き生きしてるな」
ユリス
「それは認める」
その様子をエドゥアルは笑みを零すが、脳内で先程の会話を巻き戻して問う
エドゥアル
「…本当に笑わなくなる、って事は…笑ったのか?」
ユリス
「嗚呼。笑った…そっから、良く笑う様になったぞ」
エドゥアル
「そっか。…お前のおかげだね」
ユリス
「俺?」
エドゥアル
「うん。お前が真摯に彼女と向き合ったから」
ユリス
「…そうだとしたら、嬉しいかもしんねぇな」
肘掛に頬杖をつくユリスを見てから、庭のレティシアへ視線をやり
エドゥアル
(ありがとう。レティシアのおかげで、全てに諦めていたユリスが今は楽しそうだよ)
ユリス
「あいつも大分、魔法の使い方を覚えてきたから…そろそろ仕事に戻ろうと思うんだ」
エドゥアル
「え、大丈夫なのか?」
ユリス
「流石に今まで通りは少し控えてぇから、まだお前に頼る事になるけど」
エドゥアル
「…お前が僕に頼るって言葉使ったの初めてだな」
ユリス
「そうだったか?」
エドゥアル
「忘れたのか?いつも命令か挑発だったろ」
ユリス
「はは、忘れちまった」
エドゥアル
「…ったく」
楽しそうに笑う幼馴染をエドゥアルは、眉を下げて笑む。