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僕と彼女の共同戦線

第13章 積み重ねた物


「ククク、司。勝つのは力か科学かじゃねえ。
力も科学なんだよ

『力』をギリシャ語でなんて言うか知ってっか?






ーーー『ダイナマイト』だ」

千空の声の終わりと共に、ドゴォオオオォオオオオオォオオンン!!!!と紙ヒコーキが爆発した。


「………!!ダイナマイト!!凄い……!!」葵は空まで燃え上がる炎を見て歓喜した。
ーーこれが、科学の力。

「ヒトの力など一笑に付す、科学の『力』だな…!!」コハクも同様に笑っている。

ザッ!!!と紙ヒコーキを持った科学チームが洞窟前に立ち並ぶ。

「ククク、ギリッギリ間に合ったな。バトルチーム、テメーらが持ち堪えてくれたおかげでよ……!!!」

そのセリフに、これまでの戦闘で傷だらけになったバトルチームが安堵の息をつく。

「か、紙ヒコーキなんか当たら「あはは、紙ヒコーキよりはちょっとだけ正確なダイナマイトアローもあるよ…?」
洞窟の奥から羽京がスッ…とタイミングを見計らって先端にニトログリセリンを塗った矢をギリィと弓で構えた。

「形勢逆転!!戦争終結!!おしまいおしまい~♪」
ゲンの台詞に、司帝国の面々がカラン、カランと武器を落とす。


ーー氷月が、炎をぼうっと見たかと思うと、マスクをぐい、と下げて呟く。
「なんて……素晴らしい…………!!!」





「あー…うん、凄いとは思うけど…氷月、そういう所だからね?君がアブナイの」

葵がこら、と氷月の背中をトントン、と槍の柄で突っつく。彼女の聴力で声を拾えたのだ。
コハクからバトンタッチしていた管槍を氷月から下げたものの…

…やっぱりこの子は危ない。

「?氷月が危ないのは前からじゃないか」
戦闘で少し疲れたコハクがつかつかと葵の元へと寄ってくる。
「いや、そっちじゃないね…中身というか…」

「…失礼ですね」氷月がマスクを元に戻すと、ふい、とそっぽを向く。

「……まあ問題はこの後かな」
葵が言うと、どういう事だ、とコハクが返す。
「ダイナマイトだと強力な武器になるけど、必ず周囲の人が巻き込まれる。『死人』が出るからーー」
「……なるほど、戦争終結ではなく、膠着か」
そ、と言って葵が二人の長ーー


千空と司を見た。
そして、千空が予想通りの言葉を吐いた。

「ーー取引だ、司」
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