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僕と彼女の共同戦線

第12章 最後の戦い


くるりと葵が振り返る。
「ごめんね、羽京君…あ、また君付けしちゃった。呼びやすくて…後で怒られるね」
そう言いながら服を捲るとーー
中には大量の血糊袋と、千空に事前に仕入れてもらっていた、カーボンで作られた甲冑があった。


「…あはは、いいよ、それくらい…!!」
ーー生きていてくれたから。


その間に、とっくに葵は
そして、すーっと大きく息を吸う。

「みんな!私は生きてる!死んでなんかない!!
リリアンはもうこの世に居ない!でも……でも、歌は生きてる!!!!」

この小さな身体からどうやって出てるのか分からない大音量。周囲の視線を一点に完全に集める。

凄い……!
羽京は葵の姿に、頼もしさを感じた。

「騙しててごめん。でも私は科学王国につく…!!
リリちゃんの歌を生かしてくれた。友達を生かしてくれた…!

何より……この奇跡の洞窟でも、誰一人、科学王国は殺してない!!!!」

その台詞に、事実に。
司達についていた兵士達がどよめく。
再度、葵が声を張り上げる。

「私は!歌を!!!ファンのみんなを!!!!
……生命を大事にする方につく!!!!
みんなもどちらが自分を大事にしてくれるか!
選ぶんだ!!どちらかを!!

ーー世界は……世界は」
ギュッ、と真っ赤に染まった握り拳を掲げる。

「ーーーーこの手で変えるためにある!!!!」


葵が高らかにそう宣言する。彼女自身の歌の歌詞だ。
するとオオォオオ!!と高らかに声を挙げて、科学王国の元々の兵たちだけでなく、寝返った兵士達も引っ括めて一斉に反撃にかかる。

「…ハ!あの場で即座に皆を鼓舞するとは…流石は軍師とやらか!」冷静かつ適切な判断にコハクが感心しながら自身も日本刀を手に敵に立ち向かう。

「待てコハク!何か勝ち筋があるのか!?」
「あるわけなかろう、そんなもの!
…これは籠城戦だ!我々で僅かに持ち堪えさえすればーー必ず作り出す。千空達科学使いが!!
勝利の道を!!!!」


「やるじゃねえか、軍師サマ!!最期の力でも振り絞ったか!?」
洞窟へ走る中、千空がそう声をかける。
「最期じゃないよ、後は託した!」
すれ違いざまに、パン!!とハイタッチをする。

「ああ!…走れ!!科学使い!!!」
「おぅよ!!」
千空達科学チームが洞窟へと駆ける。
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