第10章 優しい理想家
「そりゃ…お疲れなこった」千空が労いの言葉をかける。
「にしても前から思ってたけど、葵ちゃんってほんっと、3700年間起きてた千空ちゃんとタメを張れるぐらいには……メンタルとか頭がゴイスーね…??」ゲンの意見に、羽京が同意した。
「あはは、そこは本当に凄いよ。自分からまさか陽を滝に落とした、なんて嘘の自白するなんて。その部分は僕にも言ってないからね」
お前…そんなの嫁にしてていいのか…?と千空が呆れる。
「それはまあ…あの子の面倒を見れるのは僕だけだから」
「惚気は要らねえよ」バッサリ千空に斬られ、あはは、と羽京は笑った。
……今のは本気なんだけどなあ。
そう思いながら、瞼を閉じてーー彼女の姿を思い浮かべた。真っ白いライブ衣装ならぬーーウェディングドレスを着た、美しい姿。
結婚式で海辺に佇む、彼女のーー
蒼と白が混ざる姿を。
もし、今回の戦争にでも勝ったらーー
《ハネムーンくらい行きたい》
彼女の言葉を思い返す。
……お礼、しないとね。今まで僕の夢の為に動いてくれてた事も、全部、全部。