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僕と彼女の共同戦線

第2章 二つの影


「羽京とーー葵だ。特に羽京は要注意だね。歌なんか何回も流してたらーー羽京に耳づかっちまう」

確かに羽京君なら聴こえるだろうし、騙せるかどうか分からない。そちらは「何度も流さなければいい」という大樹の案で取り敢えずひとまとまりする。

(…でも羽京君も、葵ちゃんの石像パズルしてるの見守ってるし…どうなんだろう)
杠は不安になる。

一方、千空には羽京の事を知るゲンが解説をしていた。

「潜水艦のソナーマンだった人でさ、耳が超ゴイスーなの」

「ほーん。で、もう1人は誰だ?」
「えーっと、その子は俺も知らないんだけど…??」
「おいメンタリスト。んな重要そうな奴くらい知っとけ」
「そう言われても~!本当に知らないんだもん、ジーマーで!!
ニッキーちゃーん、ヘルプ!もう1人の方、教えて!!」
ゲンがニッキーに解説をお願いする。

「葵はゲンが抜けた後に復活した人間だよ。羽京とは別の意味で力があって、重宝されてる」

「あー……道理で初耳なのね~」
「……でもこっちの名前なら知ってんじゃないか?歌手の『Aonn』だ」

「エエエッッ!?!?あの!?!ジーマーで!?!?えっ!?」
「誰だそれ」千空は詰まらなさそうに耳をほじくっている。

「せんくーちゃん知らないの!?日本人なら知ってて当たり前クラスで、世界進出もしてる超~~有名な歌手だよ!?ってか司ちゃんなんでそんな子復活させてんの!?武力関係ある!?」
「いや知らねーよそんな奴、科学1ミリも絡んでねーし」


「……司が復活させたんじゃないんだよ、特殊なんだ。その子ーーー葵は」
静かに告げたニッキーの声に、耳を弄る千空の手が止まる。

「……ククク…そりゃまた唆るじゃねえか…!!まさかその葵って奴、俺と同じ自力復活者か?!」

「急に乗り気!?千空ちゃん、本当そういうとこあるよね…」トホホーとせっかく解説したのが無駄骨に終わって泣くゲン。

「…ああ。たまたま司帝国の近くで自力で復活した子だよ。今司帝国で、歌の力でみんなを上手く纏めてる。娯楽が無いうちらからしたらもう神様みたいなもんさ。

旧世界ではプロフィール非公開の歌手が、毎晩リクエスト受け付けて生歌歌おうってんだ。……内心では、司なんかより、あの子の方を支持してる奴も多いだろうね」
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