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僕と彼女の共同戦線

第7章 差し伸べる手


「もちろん。私がクロム君から情報を聞き出す『密偵役』だからね。電池欲しいらしいから、脱獄アイテムって事で今晩中に届けるよ」

「なるほど、そりゃおありがてえこった。つーかアイツそんな重要なの口走ったのかよ…ククク…」
千空が笑い転げる。そりゃ密偵役だし、向こうは味方と知らないのだからそうなる。

「いや、流石にハッキリ声には出してなかったよ。私も羽京君程では無いけど耳が良いから僅かな息遣いと口パク見て知っただけ。」流石にクロムが可哀想なので葵が補足すると、あーそういう事か、と千空が納得する。

「私は『密偵役』があるから無闇矢鱈に荷物に触れないから…届ける役目は別の信頼の置ける人に担当してもらったよ」

「ほーん?軍師様の信頼の置ける奴たぁ、相当重いなあ?」耳をかっぽじりながら千空が言う。……これは相手を分かってるんだろうな、と苦笑した。

「…どうだろね。こっちは人間を駒みたいに考えてゲームみたいに動かす奴だから。まあこの位にして、次の議題ーー」ハイハイ、と千空が言う。

その後はひたすらに情報を話し込む。司帝国内部の状況。現在の復活人数、配置、部隊の振り分けなどの基本情報。

そして肝心のSTONE WARSで司帝国の予定していた戦略図である。

「ーーあの氷月と羽京、ってのが厄介なんだな」
「そうだね。司君は…君なら気付いてるでしょ?
現代の彼とこの新世界での彼との違和感。そこを突けば正直どうとでもなるかな」

「あの霊長類最強マンを【どうとでもなる】たァ、大きく出たな?まあ俺もお前と同じ路線は考えてたがな。」
「…今みたいに直接味方になる前、直接存在を聞いたけど、居るのは間違いないね。良い『交渉カード』になる」

「で?軍師、お前からしてより厄介なのはどっちだ?」
流石は千空だ。話の飲み込みもテンポも早い。脳みそがずっと回転し続けている様な感覚だ。
内心で苦笑いしつつも、同じく秒で葵が答える。

「氷月。家同士仲が良くて縁談話すらあったからね。幼なじみで古い付き合いだからよく知ってる。
断言する。アイツだけは野放しにしたらいけない」
「………理由は」
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