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僕と彼女の共同戦線

第5章 二人の天才


無表情で葵が繰り出す質問に、総員沈黙した。その沈黙を秒で千空が破る。

「羽京が、ウソの報告をしたんだな」
「……正解。私は司帝国反対派だから、これに異を唱える必要はないしその嘘に乗った。

『……例の奇跡の洞窟に、1人で偵察に来てたよ。
まあ狙いは硝酸かな』」

突然の声真似。これはーー

「え!?今の、羽京ちゃんの声よね!?」
「そうだよ。さっきの声真似の報告、そのまんま司君と氷月の前でしてたんだ。……なかなか曲者でしょ?」

「いや声帯模写するテメーも大概だわ……その手の奴はゲンで手一杯なんだよこちとら」「何それどういう事!?!!」ゲンが涙目になる。

コホン、と葵が咳払いする。

「ーーだから、千空君。少なくとも私個人は君に協力する。羽京君の方も、ウソの報告する位だし何か思惑があるとは思うけど……暫くは様子見して、その『寝返り作戦』を先に進めた方がいいと思う。

変に落とすより、いざ『耳づかった』時に真っ向でやりあった方が本心が出るだろうね」

「……だろうな。分かった、じゃあとにかくお前に作戦概要だけ伝えっぞ。」

分かった、と葵は作戦を聞いてアドバイスをする。肝心のリリアンのモノマネに対しては……
ゲンがニッキーの時同様に涙目の採点だったが、その辺もニッキーと二人がかりで短期間ブラッシュアップをする形になった。

「雪解けは近いからね。司君達が攻め込む前にしないと。ゲン君、ごめんね?」
「ああ…うん…スパルタドイヒー…!!」
「ククク…でもまあ、軍師サマひとり味方に付けるだけで心強いもんだ」

「そう言って貰えると嬉しいな~」元のほんわりとした喋り方に戻る葵。
お前、そのクソゆりー喋り方で周り騙しまくってんのか?!と笑う千空にそうだよ~この方がお話聴きやすくて~とサラッと言ってのける。

「あーー…うん。千空ちゃんと葵ちゃん、どっちも頭脳派だしなんか気が合うね…」
自力復活仲間だしね~と謎のフォローを入れる葵に、呆れを通り越してもはや頷くしかないゲンだった。

******

「まさか、アンタが参謀なんてのやってたなんて…」
ニッキーのショックぶりはでかい。そりゃ今まで慕ってきた人が裏で滅茶苦茶してたのだから、仕方がない。
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