• テキストサイズ

僕と彼女の共同戦線

第4章 仮面の下


ーーリリアン・ワインバーグ。

旧世界での葵の大事な人の1人で、唯一心を許した友達。明るくてチャーミングな笑顔で、人懐っこい性格。
自分には無い物を沢山持ったーー
自分が、音楽家を目指したきっかけの存在。

彼女の曲を、たまたま耳にしなかったら。きっと、今の自分は無いーー

「…そう、だよね。でもやっぱり、レコードとか使うのかな?」

「あの墓場で何かしてたやつがもしかしたら、そうかもね。……そこでレコードを流すとか?」

羽京が返す。ーー確かに、墓場にあるのがレコード然り、音楽を流せる物なら筋が通る。

「うーーん……でも、それだとレコード流してみんなを騙すのが大樹君と杠ちゃんになりますよね…」
二人とも気合と根性ありますけど……そういう性格でも無いし…と零す。
「ーー確かに、あの二人にはちょっと不向きかな」
羽京が同意した。

「……なので、その超絶天才科学少年の千空さんが作るのはレコードじゃなくて、レコードの音声を受信できる……そうですね~、携帯とか」
「携帯…??!それまた規模が凄いけど…?」

「ンンーあくまで私が作るなら、ですよ?
軍師の勘、って奴です。携帯があれば、レコード作って流せばいけますし~、大樹君達と連絡取って、守りの薄い側からも攻められます」

何か策を練る時は、一石二鳥や、三鳥を目指すものですな~と穏やかな声で中々に物騒な事を言ってのける葵。

「…あはは、君が言うとなんだか説得力があるね。
じゃあ僕は、墓場の方を重点的に見回ろうかな」
「はい~。……まあもしかしたら、向こうから私達に話が来るかもですが」

「?……ああ、確かに僕達二人を抑えれば、寝返り作戦があるならーー上手くいくのが約束されるからね。」
僕の聴力。君のカリスマ性と策謀力。にこっ、と羽京が微笑む。

こくり、と私は頷く。
だが、ふと戦争が無かったらーー
なんて思考が頭を過ぎる。

「……どうしたの?」「あ、いや……羽京君は気にしないで…」

ズザッ、と木から飛び降りる羽京が顔を寄せる。
……羽京君と『そういう』関係になってから、何故かとても距離感が近い気がする。

「言わなかったら、今度は何をしようかな」

ニコニコ笑顔で軽く脅される。
「な、なな何をするおつもりで!?」「君の作ってくれる料理をみんなの前でベタ褒めする」とサラリと言ってのける。
/ 119ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp