I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
沢山並んでいた料理の皿もあっという間に空になってきて、時刻は20:00を過ぎるあたりになっていた。
椿木さんはと言えば、自分の作った料理を取り合う俺らの様子を見ては携帯で写真を撮ったりしながら、終始嬉しそうに笑っていた。
ルナとマナも、ご馳走に頬を膨らませながら、椿木さんや八戒に料理を取り分けてもらっては楽しそうに過ごしている。
「ケンチン!場地!今だ、三ツ谷を捕まえろ!」
「「りょーかいだ。」」
「え、何」
食事も一段落して、俺が椿木さんやルナとマナの様子を伺っていれば、突如マイキーが大声を出す。
驚くのも束の間、俺はあっという間にドラケンと場地によって拘束された。
「………まさか、マイキー」
キッチンの方に行って、箱から何やらパイのようなものを取り出したマイキーを見て、嫌な予感を感じる。
「お楽しみはこれからだぜ、三ツ谷。」
「よし!一発かましてやれ、マイキー!」
予感は的中、廊下の向こうで、トンッと片足を床に着いたと思えば、マイキーは「三ツ谷、覚悟ッ!!」と言って飛んだ。
咄嗟に目を瞑った瞬間、べちゃりと盛大に顔にパイがめり込むのを感じる。
「ハハッ、決まった♡」
「……お、まえら………やりやがったな。」
俺は顔や服に着いたクリームの塊を手に取ると、東卍の奴らの顔にあますことなくなすりつけた。
「うわー!タカちゃん、ひでーよ!俺何もしてねーのに!」
「うっせ!お前も共犯だ!」
「…でもよー、三ツ谷、このパイも中々うめーぞ。」
「パーは一人でクリームでもなめてろアホ!」
俺らがそんな風にバカ騒ぎしていれば、今度は本物のケーキを持った椿木さんが現れた。
「みんな楽しそうだねぇ、こっちのケーキもそろそろいかが?」
「「「「「「…おー!!!!」」」」」」
イチゴやマスカット、ブルーベリーなど果物がふんだんに乗ったフルーツタルトと、何味のケーキかはわからないけれども中々洒落た見た目のケーキを前に、瞳を輝かせる面々。
俺はすぐに切り分けようとする椿木さんを少し止めて、写真を撮った。
「こんな旨そうなケーキ、食ったことねぇよ。」
感心する俺に「…ふふ、喜んでもらえて何より!」と笑う椿木さん。
俺は、ケーキ両手に嬉しそうに笑う彼女の姿をもう一枚写真に納めた。