第39章 不器用な友達
「悪ぃカノ。マイキーの記憶を取り戻させる為にお前が女だってことバラしちまった」
片手を縦に構え、顔の前に持ってきて"すまんのポーズ"をしたドラケンに先程までの"何故女だとバレてるのか"の疑問が解決した。
「…そうでしたか」
「マジでごめん」
「気にしないでください。バレてるならもう隠す必要もありませんから」
「海凪もこう言ってんだし、何かしてもらえば?じゃねーとコイツ引き下がらねーよ?」
「ええっと…そうですね…」
「何でもいいわよ」
急にそんなこと言われても正直困ってしまう。でもマイキーの言う通り、望みを言わないと海凪は納得しないだろう。どうしたものかと頭を悩ませていると、不意に脳裏にエマとヒナが仲良さそうに笑い合ってる光景が思い浮かんだ。
「本当に…いいんですか?」
「いいって言ってるじゃない」
「えっと…その…」
両手の指先をピトッと合わせ、恥ずかしそうに視線を彷徨わせ、口ごもる。
「もし良かったら…わ、私と…」
「?」
「私と…友…友だ…」
断られたらどうしようと云う不安があり、思うように言葉が伝えられない。
「海凪と友達になりてえんだって」
「友達…?」
「だろ?」
困っているとマイキーが助け舟を出してくれた。恥ずかしそうに首を上下にコクコクッと頷かせる。まさか望みが自分と友達になることだとは思わず、海凪は驚いた表情で目を見開いた。
「私と友達になってください…っ!」
勇気を出して今度は上手く伝える。海凪の心に一瞬、温かな気持ちが芽生えたが、すぐに顔を曇らせた。
「…アタシ、昔からこんな性格だから人付き合いが苦手なの。アンタに不快な思いだってさせたでしょ?言葉がキツいって分かってる。でも直そうと思っても簡単に直らないし、どうしても冷たい態度になっちゃうの」
「……………」
「アタシと仲良くしてもまたアンタを不快にさせると思う。それでもアンタはこんなアタシと友達になりたいの…?」
「なりたい」
「!」
迷う事なく、キッパリと即答した。
「確かに碓氷さんは冷たい印象を与えがちです。言葉遣いだってキツいし、機嫌悪いの?って思うくらい不機嫌そうな顔をしている時があります」
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