第39章 不器用な友達
「なぁ海凪!オレの彼女ほんと可愛くね?こうやって怒るのも照れ隠しなんだぜ〜♥」
「マイキーくん!」
「声も澄んでて可愛いよな?」
「ねえ本当に…!」
「硝子玉みたいな紫色の瞳に見つめられるのも好きなんだよな〜♥」
「ストップ!」
「この細い指もさ、いつもオレと手を繋ぐ時、柔らかくて好き。爪も薄いピンク色でマニキュア塗ったら絶対かわいい」
「手を取らないで!指先を撫でないで!」
「赤がいいな。オレの色。それ塗って今度デート行こう。なんなら今から行く?」
ギュッと手を握ってニコニコと笑みを浮かべるマイキーにカノトの顔は完全に真っ赤になる。
「万次郎…アンタって奴は…」
海凪が呆れるように溜息を吐いた。
「マイキー、イチャつくのは後にしろって言ってんだろうが。それと相変わらず愛が重いな」
「重い方が愛されてるってカンジがするじゃん♪つーかカノがいんのにイチャつけねーとか無理。もっとイチャつきてぇもん」
マイキーを見ると好き好きオーラが溢れ出し、カノトに向けてハートがたくさん飛んでいる。"コイツに何を言っても無駄だった…"と呆れたドラケンは海凪と同じように溜息を吐き、止めるのを諦めた。
「万次郎、アンタが彼女のことを好き過ぎるのはもう分かったからちょっと抑えて。今はアタシが話してるのよ」
「えーオレだってカノと話したい」
「後でいくらでも二人の時間をあげるわよ」
そう言って海凪はカノトに向き直る。
「ねぇ、アタシに何かしてほしいことある?」
「え?してほしいこと?」
「今までのお詫び…にはならないけど、アタシが悪いのは確かだもの。もしアンタに望みの一つでもあれば、可能な限りだったらアタシが叶えてあげる」
「そ、そんな…!お詫びなんて!お気持ちだけで十分です!それに女性に何かを強請るなんてできません…!」
「何言ってんの。アンタも女でしょう」
「え!?」
「驚き過ぎ。さっき万次郎がアンタのこと"彼女"って言ってたじゃない」
「で、でもそれだけで僕が女かどうかなんて…」
「あー…そのことなんだけどな」
ドラケンがバツの悪そうな顔をした。
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