第56章 彼の運命
「駅で君が見た未来視…確か倒れた千咒が"約束守ったぞ"って言ってたんだよね?もしそれが本当なら、今日狙われるのは彼女じゃなくて…」
その時、複数人の足音が聞こえた。
「オマエらが花垣武道と宮村心叶都だな」
黒い服と黒いマスクで身を包んだ男達が息を切らしながら二人の前に現れる。
「もしかして…狙われてんのはオレたち!?」
「……………」
雨でびしょ濡れになりながら、カノトは鋭い眼差しで男達を睨む。
「オイ、ホントにコイツらか?全然弱そうじゃん。特にそっちの奴なんてホントにあの無敵のマイキーのお気に入りかよ?」
男の一人がカノトを指さしながら言う。
「あぁ、間違いねぇ。さっき瓦城千咒といたのを見た。それにアイツも見た目はあんな小柄だけど喧嘩は強いってウワサだ」
「誰だ?オマエら!?」
「(私達を探してたのか?それに明らかに様子がおかしい。)」
「ホントにやんのか?」
「ああ…オレらみてぇーな小物が上にあがるタメにはこれぐらいしねえとな」
「でもよ、サウスさんに相談した方が」
「(!サウス?)」
「大丈夫だ!この為に命懸けで"コレ"を手に入れたんだ!」
そう言って、男達の中の一人が何かを取り出し、それを二人に向けた。
「サウスさんなら分かってくれる」
「!!」
「(銃!?そんなの一体どこで手に入れて…)」
簡単に人を殺せる凶器を目の前に晒され、二人の顔が一瞬で強ばった。
「(私って銃で死ぬ呪いにでもかかってんのかな。いつもソレを突き付けられてる気がする。)」
フィリピンに行った時に会った黒髪のマイキーにも銃を向けられ、柴大寿の店を出た後に待ち構えていたイザナにも銃で撃たれ、最後は全てを終わらせたかった白髪のマイキーにも銃で殺されかけた。
「(それにさっきサウスって言ってた。もしかしてコイツら六破羅の…)」
「カノちゃん…もしオレの考えが間違ってたら言ってくれ」
「!」
「もしかして千咒はオレらを庇ったから…」
「間違ってないよ。きっと彼女は僕らのどちらかが撃たれるのを防ぐ為に身を呈して守って死んだ。あの短冊に書かれた願い事を、彼女は守ったんだよ」
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