第55章 明司兄妹
「カノちゃん…」
そんなカノトの考えている事が分かるのか、タケミチも心配そうな顔を浮かべている。
「………。決めた!今日は女物の服を買う!そんでマイキーが帰ってきた時に『世界一可愛い』って言わせてやろう!」
「!」
「でもマイキー君、カノちゃんがどんな服着ても絶対可愛いって褒めるからな〜」
「(今は褒めてもらえるのか分からないよ…)」
「そんなの当たり前だろ。コイツはマイキーのために可愛くなるんだから。アイツにとってカノトが可愛くない瞬間なんてないだろ」
「さすが千咒、分かってンじゃん」
「ちょっと二人とも?」
「さー探すぞー!」
一旦セーラー服に着替えた千咒と共にマイキーに可愛いと言わせるための服装を選ぶことになった。
「コレなんて可愛くない!?」
「動物柄はちょっと…」
「カノちゃんこの服マイキー君に見せたらぜってー悩殺間違いなしだよ!!」
「文字入りもちょっと…。しかも『可愛いは正義』って…あざとさ満載でやだよ」
「「え〜」」
「(そうだった…この二人、圧倒的にファッションセンスがダサかった…!!)」
千咒の手に持っていたのは猫の顔が胸元にでかでかとプリントされたロングTシャツ。そしてタケミチが持っていたのは白地の背中部分に『可愛いは正義』と印字されたパーカーだった。
「可愛いじゃん猫…」
「やっぱ『醤油があれば何でもいける』の方が良かったか?」
「(どっちもやだよ!!)」
不満そうな千咒と本気で悩み出すタケミチを放っておいて、ちゃんとした可愛らしい服を選ぶことにしたカノト。
「(あ、これ可愛いかも。)」
ホワイトシャツの上にブルーのセーターを重ね、ふくらはぎまであるホワイトのスカート。襟元が折れており、スニーカーと合わせてもカジュアルで可愛い感じの作りになっている。
「おー!女の子ってカンジの服だな!」
「カノちゃんにピッタリじゃん!」
「そうかな」
「よし!それ買うぞ!」
「千咒、やっぱり自分で払…」
「もっと買ってマイキーをめろんめろんにするぞ!」
「千咒の買い物では…?」
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