第11章 いざ、京都へ
イタクと首無が一瞬顔を見合せた
「フン……タク
鎌鼬のイタクだ」
イタクが鎌をしまいながら名乗った
ワラワラと集まってくる小妖怪達に睨みをきかせながらイタクが歩いていく
「おめーが遠野モンかい、オイオイ…ずいぶん目つきの悪いガキじゃねーか」
鴆がチンピラのようにそう言った
「………何だと?」
イタクがそう言ったのとほぼ同時だった
バサバサバサバサ
突然大量の羽音が聞こえる
「!?な、何だぁ…!?」
船が騒然とする
「どこの船だ!?」
声がした
「おお!?かこまれてたのか!?」
と淡島
「月も沈んだ夜明け前、命知らずが迷い込んだか…?」
「どうやら…着いたようだな!京妖怪のお出迎えだぜ!!」
リクオがそう言うと妖達が船の甲板に集まる
「すげぇ数…おもいっきりかこまれてんじゃねーか」
「きけ、そこの船。我こそは京妖怪白蔵主!
ここは鞍馬山上空より東に約四里の地点である。」
『あら、親切…』
「我らは羽衣狐様より京の空の守護を仰せ付かりし者。
誰のものかわからん船をここから通すわけにはいかん!
どこの手の者だ!!名を名乗れ」
白蔵主のその言葉に京妖怪が臨戦態勢に入る
「!!来るぞ!!態勢をととのえろ!!」
黒田坊が叫んだ
「全員配置につけ!!」
だが、京妖怪は襲ってこなかった
「名を名乗れ、敵であっても名乗るまでは手は出さん…」
『…羽衣狐にしては、珍しいタイプの妖を傘下に置いてるのね…((ボソッ』
「なんだ…こいつら…」
「京妖怪とは…バカ正直な奴らなのか…?」
「おぬしらは敵か?それとも味方か?
はたまた…羽衣狐様の配下になりに来た者か?」
白蔵主がそう尋ねた
「バーカ!!だれがそんなためにくるかよ!!
この"畏"の代紋が見えねーのかい!」
納豆小僧が大きな声で答えた
すると、ザワつく京妖怪達
「この代紋は」
「まさか…うそだろこいつら!!」
「ぬらりひょん!?奴良組だと…?」
「へん、どーだビビったか!」
その納豆小僧の言葉に京妖怪達が反応する
「「こいつらが、四百年前の羽衣狐様を討った…」」
京妖怪の気配が変わる
「よくも…おめおめと…!!」
「塵にしてくれる!!」
一斉にこちらに向かってくる京妖怪達
襲ってくる妖怪達をみんなが足止めしている時だった