第11章 いざ、京都へ
ゴォン…ゴォン…
ゆっくりと宝船は空を飛ぶ
リクオに着いてきた面々はそれぞれ好きなように過ごしていた
晩酌を始める者、ゆっくりと過ごす者…
そしてリクオを含めた一部の妖は会議をしていた
「えー、おほん。よいかな遠野勢?
まず奴良組の組織の説明をするとですね…達磨会や牛鬼組といった…本家の他に最高幹部と呼ばれる二十の貸元がいる。
今回の出入りには貸元からは狒々組の猩影様が参加している。」
黒田坊の仕切りで会議は始まるらしい
参加しているメンバーはリクオ、黒田坊、首無、毛倡妓、猩影、遠野勢、そしてなぜか私だ
「また、猩影様は入って間がないため参謀役にはこの黒田坊がつきます。
よろしいですね?リクオ様」
黒田坊はニコリと笑いながら尋ねた
「……いんじゃね」
リクオの返事の適当さたるや
「では、私を中心に本家が指揮を執ります。
遠野勢、京についてからのお前達の役目は…」
黒田坊がそう言おうとした時だった
「ちょっと待て、なんでオレたち遠野がてめーらの部下みてぇにあつかわれんだよ?」
と淡島
その言葉に黒田坊が驚いた顔をする
「お前たち…リクオ様と盃交わしたのだろう?」
「盃ィ!?だぁーれが!!ふざけんな!!
遠野が盃を交わすかよ!!」
淡島が黒田坊に迫る
「じゃあ何で…ついてきた?」
「おお!?そりゃあよー!!
…えーとだな、それは…あれだ…」
淡島の勢いが落ちていく
その様子を見かねたのかイタクがため息をついた
「リクオはまだ"鬼發"も"鬼憑"も中途半端…ついてってやんねーと心許ねーだろ…」
とイタク
「…そうか、それはありがたい。
だが、リクオ様にため口はやめろ」
黒田坊がそう言うと遠野勢と奴良組の面々の間に緊張した空気が流れる
「は…奴良組が落ち目だってのも本当のようだな。
お前らみてーなのが側近じゃあリクオは強くなんねーよ!」
まさに売り言葉に買い言葉、イタクの言葉に黒田坊達は苛立ちはじめていた
「ちょっとあんた達いい加減にしなさいよ!!」
と毛倡妓
「うるせーぞ女ぁ!!」
と淡島
「やれやれ…」
リクオが場を止めようとした時だった
「おい、おめーら。
口のきき方に気を付けろ」
そう言ったのは首無だった