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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第10章 別れ


 とうとう18歳の誕生日が来た。ひい爺さんの遺言が開示される日。婚約者が誰なのかわかる日。

 まだ術式も自覚していないような幼い頃から、ずっとこいつの存在をちらつかされてきた。

「悟、婚約者ってわかるか? 悟が大きくなったら結婚する相手のことだ。それはもう決まってる。ひいおじいさんの遺言っていうものの中に書いてあるからな」

「悟も無下限呪術を受け継いでるだろ? 遺言のおかげだぞ」

「遺言には五条家の遺伝による術式相伝の秘術が書かれてる。婚約者は大切だ。しっかり従うんだぞ。当主の務めだからな」

 親戚が来るとは僕に向かって言う。けどその度に、なんでそんなもん守らなきゃいけねぇんだ、好きにやるって思ってきた。

 加茂家や禪院家では遺言で婚約者が決まるなんて話、聞いたこともねぇ。直哉は今、ネットで知り合った女と付き合ってるらしい。呪術界は特殊とはいえ、遺言で婚約とか時代錯誤もいいとこじゃねぇか。

 確かに生得術式が確実に子に遺伝することは、揉め事を少なくする。

 五条家も過去には術式の有無による継承者争いや、それに伴う内縁の妻や養子縁組など複雑な問題があったらしいけど、江戸の中期以降、遺言書に婚約者のことが記されるようになってからは、その婚約者との間に無下限呪術を持つ子が生まれ、全くといっていいほど揉め事がなくなったとか。

 秘術っていったいなんだよ。それもこれも今日ですべてわかる。別に緊張なんかしてねぇ。いつもどおり余裕。高専にいる夕凪の方がきっとドキドキしてんだろ。

 夕凪はこのところ落ち着かない様子で、体が縮こまってた。なに言っても暗い顔して僕の腕を離さないし、昨日は胸に顔をうずくめてきて泣きそうにしてたから、久しぶりに好きって告った。

 好きだから婚約なんかしないって。少しは安心してたみたいだけど、それでも夕凪にとって五条家の存在は大きくて恐れ多いって感じだったな。

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