第10章 別れ
そして最後に、せめて悟くんに……。
これまでのお礼が言いたくて、あたしは悟くんにも手紙をしたためた。五条家に住む事になった時から今までのこと全てのお礼。
急に書いたから、支離滅裂になったかもしれない。言葉が足りないかもしれない。やたら長くて読みにくい。でも、もう書き直している時間もない。
そろそろパーティもお開きの時間だ。みんなが戻って来てしまう。
廊下を歩いてつきあたりで結界に手を伸ばす。悟くんの部屋に入れた。まだ、あたしは結界に入れるままになっているんだと思うと、再び涙が溢れてくる。
本当にこれで最後、このお部屋とも最後。
悟くん、ありがとう。大好きだった。
ううん、今でも大好きだよ。だけどバイバイ。
手紙を悟くんの寝室に置いて、あたしは誰にも気づかれないようひっそりと五条家を出た。