第10章 別れ
「悟くんを好きだって正直に言えばいいの? そしたら後はなんとかなるの?」
「あぁ、大丈夫」
「まさか、とは思うけど……駆け落ちはないよね?」
「駆け落ち? ねぇよ。恵のこともあるし」
よかった。もし、そうするつもりなんだったら、あたしは身を引く。御三家にとっても呪術界にとってもそれはあってはならない。
恵って確か悟くんが面倒見てる禪院家の男の子だ。後見人になっているんだった。五条家のバックアップは絶対にいる。
悟くんはいくらあたしのことを大切に思ってくれてるとしても、愛に溺れて自分を見失うような人ではない。それは状況を見て最善を考える呪術の戦い方を見てもわかる。感情に流されたりはしない。
悟くんの頭の中で何をどうしようとしているのか、あたしには全く見えなかったけど悟くんを信じることにした。
「わかった。で、いつ?」
「早ければ今月末、遅くても来月頭には呼ばれると思う」
遅くても2月か。もう目の前まで迫っている……。