• テキストサイズ

【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第10章 別れ




 遺言書が悟くんに開示されてちょうど1年。五条家が動き出したようだ。19歳の誕生日を迎えた悟くんは、にわかに忙しそうだった。寮には戻らず五条のお屋敷から直接任務に行き、時々高専に寄るような生活。

 誕生日のお祝いもプレゼントも簡易的に済ませて、しきたり的な行事に顔を出したり、各界に挨拶しに行っている。婚約の儀に向けての準備なのかもしれない。

 忙しくなる事がわかっていたから、去年ハワイ旅行を強制執行したのかな? そんな気さえする。

 年が明けて1月、悟くんがあたしを五条の屋敷に呼んだ。

「夕凪、大事な話で呼んだ」
「はい」

 この雰囲気から察するに、きっと婚約者の話だ。ずっと悟くんの口から聞きたかったのに、いざとなると聞くのが怖い。

「オマエもずっと気になってたんだろうなぁとは思うけど、婚約者のこと。遺言のこと」
「う、ん」
「当主がオマエに直々に質問する」
「何を?」
「僕との関係」
「関係って……きっとご存知だよ」
「だとしても聞かれる」
「……どうすればいいの?」
「夕凪はありのままを言えばいい」
「ありのまま? 今も付き合ってるって言うの?」

 悟くんが頷く。あたしは戸惑った。当主は以前、親戚たちの前で、遺言に従って婚約者を制定すると仰っている。それなのに、あたしの存在なんか主張出来るわけない。

「あたし、五条家に迷惑かけるような事は言えない」
「迷惑じゃねぇーから。僕を信じてよ」

 悟くんの青い瞳が真っ直ぐあたしを見つめる。揺らぎなき眼。吸い込まれるような見るほどに美しい双眼。信じてよ、ってそう言われたのはきっと初めて。やっぱり悟くんには何か考えがあるんだ。

/ 625ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp