第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
そこで私は少し揺さぶりを掛けた。
「例えばシラユキに“振られた”…とか。まあ例えばだけど『試しに一週間付き合ってくれ』と言ったけど無視されたとか」
「!?」
「なにそのキモい告白。笑」
「ぐっ……!」
「スミレもそう思うわよね?実は前に読んだ小説に書かれてた台詞なの」
「えークロサキならもっと恋愛系が似合うと思うんだけど〜。今度貸してあげよっか?」
「ええ、お願い。ただ、そういうのは動機になるかなーと思ったのよ。どう?カナザワ」
「そ、れは…」
「(動揺してるわね。いい気味だわ。)」
「振られたくらいじゃ殺しはしないだろう。それこそ“ストーカー”でもしてる人じゃないとな」
「あ、“ストーカー”といえば…。ところでこんな物拾ったんだけど…」
わざとらしい声を出し、カナザワの部屋から盗み出したシラユキの写真を差し出す。
「何かシラユキが死んだことと関係があるかもと思って。シラユキの私物かしら?」
「!!??」
「(顔が真っ青よカナザワ。)」
「なにこれシラユキの写真じゃん。アンタが撮ったの?笑」
「冗談でしょ。シラユキと写真を撮るならちゃんと彼女に断りを入れてから一緒に撮るわよ。それにもし私が男でもこんな“盗撮”みたいなことはやらないわ…。誰のか知ってる?」
「……………」
「あら…誰のものでもないのね…。じゃあこの写真はカナザワが持ってて」
「えっ!?」
「もしかしたら重要な手がかりかもしれないから…犯人を探したがってるカナザワが持ってたほうがいいわ」
「…わ、わかった。」
「ところでカナザワ、まだ私が犯人だっていうかしら?」
「ちょ、ちょっと待て。やっぱりやめよう。犯人探しなんて。な?」
「あんたが言い出したんでしょ」
「ほら、よくねーよ。いがみ合うのは」
「ええ、そうね。カナザワの言う通りだわ」
私はニヤけた顔を必死に隠す。
「よし、もう時間も遅い。みんな今日は疲れただろう。この辺にして部屋に戻って休もう」
「…私、先に戻るね…」
「俺も部屋に戻るか」
「あー4日が長い…」
「カナザワ、大丈夫か?顔色悪いぞ」
「……ああ。」
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