第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「だからみんなで協力して、この5日間を乗り切ろう」
「(さすがアオキ。…それぞれ不安を抱えたメンバーの顔に少し明るさが戻ったような気がするわ。)」
「シラユキはシラユキの部屋に運んでおいた。そして今後のことだが──」
その後アオキの提案で毎日一回、必ず全員で集まることが決まった。
「そんなことよりさぁ、ここらへんでハッキリさせておこうぜ。シラユキを殺したのはクロサキちゃんだってことを…!」
「(カナザワ…黙っていればいいものを…)」
「またその話をするのか…」
「なんでそこまで疑ってくるのよ」
「じゃあ昨日の夜、お前は飲み会から出て行ったあと、何をしていたんだよ!」
ビシッと指先を突きつけられる。
「その時に殺したんだろ!!!」
ここで選択を間違えちゃダメよ。バッドエンドを回避するには…慎重に答えなきゃ。
「確かに私は途中で飲み会から抜けたわよ。でも他にも途中で抜けた人がいるんじゃない?」
「最初に出て行ったのはお前だったが…しばらくして飲み会がお開きになったあと、みんなも部屋に戻ったな」
「アカイの言う通りよ。つまり極端を言えば、全員シラユキを殺すことはできた」
「…お、お前が最初に出て行ったんだ!だから…あの時シラユキを殺せたのはお前以外にいない!」
「(しつこいわねこの男…)」
苛立ちが募り、顔が険しくなる。
「私が飲み会から抜けた時に殺されたとは限らないじゃない。それとも、カナザワはシラユキがいつ死んだか知ってるの?」
「そ、それは…」
「さすがに飲み会の途中で抜けただけで犯人というのは強引過ぎじゃないかしら」
「うるせえ!お前なんだ!」
「…カナザワ。いい加減にしないと怒るわよ」
「ひっ!」
怒りマークを浮かべたまま、満面の笑みで脅しを掛ける。その迫力にビビったのか、情けない声を上げるカナザワ。
「もし私がシラユキを殺したっていうのなら…当然シラユキを殺す動機があったってことよね」
「そんなの知らねえよ!何かあるんだろ!」
「動機が分からないんじゃ犯人と言うのは難しいわよ。普通強い動機がないと人を殺すなんてことできないもの」
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