第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「この──」
「ちょっと待ってくれ!」
「…何かしら、アカイ?」
「俺は…クロサキは違うと思う」
「!!」
示談書のデータを見せようとして、咄嗟にアカイが口を挟んできた。
「何言ってんだ。お前が言い出したんだぞ」
「俺も最初はクロサキを疑っていた。…そしてシラユキは可哀想な被害者だと」
「どういうこと?」
「ところが、シラユキには人を陥れるような凶悪な一面があった。…もう…このダイイングメッセージを…信じられなくなったんだ…」
「(上手いこと考えたわね…)」
「お前たちはまだ、シラユキのことが信じられるのか?」
「あたしはそもそも好きじゃないし」
「そうだな…今日のことでかなり印象が変わってしまった」
「女って怖いよなー」
「……うん」
「…俺はやっぱりシラユキよりも、クロサキの言葉を信じる」
「それは良かったわ」
私はニコッと笑う。
「このダイイングメッセージを警察に突き出すのはやめておくよ。シラユキがウソをついているかも知れないから」
「(……勝った。)」
「それはそうとアカイくん、人のスマホをずっと持っておくのは感心しないな…」
「…あ、あぁ、ちゃんとシラユキの部屋に戻しておくって」
「(…ナイスよミドリ。)」
「一件落着したところで、最後の会議は終わりにするか」
「…そうだ、クロサキちょっといいか?」
「じゃあ俺達は先に部屋に戻るからな」
「ええ、また明日」
みんな部屋に戻るとリビングにはアカイが残った。
「クロサキ…さっきの会議で、俺が止める前に出そうとしたモノって…」
「ああ…アカイの示談書よ」
「やはりバレていたか…止めてよかった」
「まさかアカイ…アンタが痴漢するなんてね…」
「違うんだ!あれは…冤罪なんだ。俺は本当にやっていない!俺は…はめられたんだ…。でも、誰も信じてくれなかった…」
アカイは片手で頭を抱える。
「俺にはどうすることもできなくて…示談なら周りには知られることなく処理できると言われて、もうワラにも縋る思いだった」
「もしかしてシラユキに見られていたの?」
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