第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
シラユキの部屋を見終わり、リビングに行くとミドリとカナザワがいた。
「あぁ、いいよいいよミドリは何もしなくていいって…!」
「そう…?」
「何してるの?」
「明日帰るだろ。だから映像機材おろしてんだよ」
「そんなの明日やればいいじゃない」
「ポリが来るだろうがよ、その前に積んでおけ」
邪魔にならないようにリビングを出て、すぐに和室に向かう。
「何度来ても、証拠を渡す気はないからな」
「わかってるわよ」
それにしても…アカイが部屋を空けているのに…この場から全然動こうとしない。
「おいアカイ!!ちょっとこっちに来て手伝え!!!!」
「…悪いがクロサキに手伝ってもらってくれ!」
「馬鹿野郎!!クロサキは女子だぞ!!お前が来い!!」
「ほら、お呼びよ?」
「おい!!!!早く来い!!!!」
「わかってるよ!!」
アカイは走って行った。するとコトッと何か小さい物が落ちた。どうやらアカイが落としたのはUSBメモリーだ。たしかシラユキがノートパソコンを持っていた。あとで借りて見ることにしよう。
◇◆◇
「あったわ…これでさっき見つけたUSBの中身を確認してみましょう」
USBをパソコンに差す。
「(…書類のファイルね。…アカイと誰かの…示談書…?)」
その内容を読む。
「(…痴漢!?あのアカイが…!?示談ってたしか…さっきアオキたちが言ってたわよね…)」
『…そうだな、わいせつ事件は被害者次第だ、示談で済むこともある』
『あ?示談ってなんだ?』
『裁判手続きをせずに当事者同士で話をつけることだ…』
「罪状は違えど、仲間じゃないアカイ」
USBメモリーには示談書のデータが入っていた。それがアカイの痴漢行為についてだ。
「ふふ…あはは!やっと見つけたわ!アカイ…これでアンタを追いつめる!」
何も可笑しくなんてないのに自然と笑いが出る。ニヤつく顔を抑え、私は窓から見える空を仰いだ。
「裏工作は終了よ。楽しみねぇ…アカイが勝つか、私が勝つか。最後の会議で決着をつけましょう」
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