第9章 花散し
鮮明に蘇る記憶と命を脅かされているような恐怖。あの鬼は今でもずっと己を見ているのだと背筋が凍った。
同時に、菖蒲の肩口の傷…
あの鬼の口ぶりと、異常なまでの深い怒りと殺意。
______菖蒲はあの鬼と繋がっている。
そして、「粗末に扱うな」という言葉は、
「自分の支配下から逃すな」という、逆の命令としてその心を恐怖で縛り上げる。
____監視されている…!
____________どいつもこいつも
私の邪魔ばかりしおってぇっ…!!!!
憎悪と恐怖に歪んだ鶴之丞の顔に、冷たい雪が容赦なく降り積もるのだった。