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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第38章 春を待つ


琴音の肩に頭を預けてくる義勇。琴音もその頭に寄り添う。

寒い夜だが、くっついている部分は温かい。
琴音は掛布団に手を伸ばして、二人共が肩まで入れるように引き上げた。
引き上げ過ぎて義勇の足が出てしまったので、足先で布団を調節して足を入れてやった。

「温かいねぇ」
「ああ」

義勇は布団の中で琴音の手を握る。

「この寝台、二人分の体重とか大丈夫なのかな」
「お前は軽いから大丈夫だろう」
「んー、でもなぁ。壊しちゃったらさ、絶対しのぶちゃんに、」

そこまで言って、黙る琴音。
義勇の手をぎゅっと握りしめた。

「しのぶちゃんに怒ってもらいたいよ」
「……うん」
「しのぶちゃんの、笑顔のままで怒るあの感じ、本当に怖いよね」
「同感だ」

琴音は唇をキュッと噛んだ。

「……皆、無事にお空に行けたなかなぁ」
「ああ。きっと星になっている」
「うん」

琴音はズビッと鼻を啜った。
もう散々泣いた。もう泣きたくなかった。

でもまだまだ心の整理が出来ていない。それを自覚しながら静かに義勇に身を寄せた。

「ゆっくり受け入れていけばいい。焦る必要はない」
「はい」

琴音の気持ちをわかって、義勇が優しく声をかけた。

「お前が生きていてくれてよかった」
「冨岡が守ってくれたから。……腕、ごめんなさい」 
「お前のせいじゃない」
「うん、でもね……。あの時庇ってもらわなかったら、私は死んでたと思う」

「俺はお前を守ると決めていたから当然庇う。だから何も気にするな。だが……、そうだな。俺は隻腕になったから、これからはお前が上になるんだ」
「上……?何が?」
「俺は身体を支えられない。おそらく今までのようには出来ない」
「なんのこと?」
「まぐわい」
「……っ!!?」

ぎょっとする琴音。反射的に義勇から距離を取ろうとした。しかし義勇は彼女の手をぐっと握って離さない。

「ばっ、馬鹿じゃないのっ!何言ってんのよ!!」
「お前がもしどうしても自分を責めてしまうというのなら、上に乗ってくれればいいというだけの話だ」
「この助平!!!」

顔を赤くしてそっぽを向く琴音。義勇は小さく笑った。からかわれているのだとわかり、琴音は口を尖らせた。


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