第22章 呪い合い、殺し合い、
口から鼻から血を噴き出してわずかに意識が遠のいた。
成程、この分身も式神も俺に当たる前から実体があった……
つまりこの結界には必中の術式は付与されていない。
考える間にも連撃は続き、どんどんレシートは剥がれ落ちていく。
レジィは防戦一方、それでも防御が追いつかない。
領域による術式性能の向上が半端じゃないな、単純な必中領域より余程やり辛い。
逃げ場のないこの領域内で象の式神を出され、水責めで畳み掛けられたら俺の手数は半減し、敗色濃厚……!
「でもそうはならないのが“俺”って感じだよなぁ」
そう呟き、レシートを投げる。
「!!」
伏黒もそれに気づいた。
あのレシート、剥がれ落ちたんじゃない。
意図的に放ったのか!
「鵺!」
「遅い」
だが鵺がレシートに届く前に再契象が発動、3台の自動車に変わって落ちてきた。
それが影に落ちた瞬間、ズシンと凄まじい重さとなって伏黒に襲い掛かってくる。
連撃が止まったと見るやレジィに余裕の笑みが戻った。
「やっぱりね、さっきからこの足場にさ、呪力で強化してないと吸い込まれそうになってたんだ」
敵であるレジィはともかく、領域の主である伏黒もそうなっていたため引っかかっていた。
「この領域の下は全部君の影なんだろ?物を出し入れ、自分を出し入れできて便利だねぇ。でも1つ気になっていた」
そう言ってゆっくりと人差し指を立てる。