第22章 呪い合い、殺し合い、
体育館内に入った伏黒はすぐにその内部を確認する。
広すぎず、狭すぎず、
イメージ通りの丁度いい広さだ。
ここで奴を迎え撃つ。
入ってきた屋根の穴からドローンのカメラに映されているかもしれないが、ここに罠を張るつもりはないから何を見られても構わない。
誘いに乗ってこないのだけは困るが、向こうもグズグズしていたらなずなが来ることくらい認識しているだろう。
加勢される前に自分を殺したいはずだ。
少し待つと、伏黒の読み通りレジィが体育館に入ってきた。
「なーにを企んでるのかな、クソガキ君」
2階の柵にもたれるレジィは身にまとったレシート以外には何も持っていない。
だが、何もないなど十中八九あり得ない。
「オマエこそ何か仕掛けてきたんじゃないのか?」
「まぁね〜、呪術師は嘘ついてなんぼよね」
ピッと指を向けると2台のトラックが体育館の壁を突き破って伏黒に向かって走ってきた。
「チッ」
咄嗟に床に伏せてやり過ごす。
と頭に重く鈍い衝撃。
床に落ちたのは割れた素焼きの器と土、そして観葉植物。
上から植木鉢を落としてきたのか。
衝撃に怯んだ隙に伏黒のいる場所まで降りてきたレジィに右腕を切りつけられ、続けざまに何箇所か切られた。