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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第20章 10月31日 渋谷にて



なずなは伏黒を探して渋谷の街中を駆けずり回っていた。

確かに呪力は辿れる。
だが、肝心の本人が見当たらない。


こんなところで迷ってる暇はないのに。


身体中が焦りにどんどん侵食されていくようだった。



今度こそと交差点を曲がろうとした時―



「っ、何……?」


駅の方、先程新しい呪霊の気配を感じたのとは違う場所に強い気配が現れた。


今までに二度、英集少年院と八十八橋で感じたことのある気配……

宿儺の指の気配だ。


なんで、宿儺の指が?





渋谷駅には複数の帳を降ろした呪詛師と特級呪霊、更には無数の改造人間。

五条が封印されたことだけでも信じ難いのに、今度は宿儺の指が現れた。


未だに何が目的か分からない敵方、その上味方側の状況もほとんど情報が入ってこない。


虎杖くんは?

野薔薇ちゃんと新田さんは無事に避難できたの?

別働班のパンダ先輩は?

真希先輩達の状況だって分からない。



不安を募らせるなずなは背後から忍び寄るモノに気づかない。






足を止めている場合ではないと頭を切り替え、再び伏黒の呪力を探ろうとしたその時―


鬼切が脈動した。



「っ!?」


咄嗟に背後に鬼切を振ると、金属がぶつかる音と感触。


見ると柄の部分が人間の手になっている剣が転がっている。


誰かがこれを投げてきたの?

でも周囲には人の気配なんて……



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