第34章 断章 酒宴にはご用心
この前の任務で行った先のお菓子が美味しかっただの、五条先生がまた無茶振りしてきただのと談笑していると、突然伏黒の後ろから軽い衝撃。
そして、
「大好き」
真っ赤な顔をしたなずなが伏黒の背中に抱きつき、甘え始めた。
普段の彼女からは想像できないあまりにもかけ離れた姿に3人とも驚いて固まっていると、今度は伏黒の背中に頭をグリグリして更に甘える。
完全に酔っ払っている。
ウーロン茶だったはずなのに、と野薔薇がなずなの前に置いてあるグラスから一口飲むと、アルコール特有の香りが鼻を抜けた。
「……これ、ウーロンハイじゃない?」
「まぁ渡辺も20歳だから大丈夫だけど……」
野薔薇と虎杖がなずなに視線を移すと、
「恵くん、大好き〜!」
酔うと甘え癖が出るのか。
「♪〜」
ニコニコと笑い、鼻歌まで歌ってメチャクチャ上機嫌である。
抱きつかれている伏黒も満更ではなさそうで、頬が緩むのを我慢しているのか、顔が若干引きつっていて面白い。