第27章 断章 明くる日のお話 ※
伏黒が朝食を作る間になずなは顔を洗い、着替えを済ましてしまう。
昨夜ほったらかしにしていたキャリーバッグも手早く荷解きし、洗濯機を回してリビングへ。
食卓にはベーコンエッグにトースト、ヨーグルトが2人分並び、食欲をそそる匂いが広がっていた。
「わぁ、おいしそう!」
いただきます、と手を合わせてなかなかゆっくりできないことが多い食事をじっくりと味わう。
「今回の任務はどうだったんだ?連続任務で大変だったみたいだけど」
「うん、元々受けてた任務はそこまで大変じゃなかったんだけどね、帰る途中に別の呪霊が出たって連絡があって……」
それが最初の任務で祓った呪霊よりも強力なもので、すぐに現場に向かえる一級術師がなずなしかいなかったため、そちらへ急行。
まぁ、そこまではよくあることだ。
ただでさえ人数が少ない呪術師、その中でも一級術師に数えられるのはひと握り。
必然的に一人ひとりがこなす任務数は多くなる。今回のような緊急の呼び出しも珍しくないのだ。
「その任務も済ませてあと10分で東京に着くってところで、また緊急連絡があってね」
目前だった東京駅からほぼとんぼ返りするような形で二級術師が苦戦していた呪霊を祓い、やっと帰れると思ったら、その二級術師の任務が呪霊祓除ではなく、呪物の回収だったことが判明。
「結局その呪物を見つけるところまで手伝ってたら、あんなに遅くなっちゃって……」