第27章 断章 明くる日のお話 ※
ジュウと油が弾ける音と共に香ばしい匂いがなずなの鼻腔をくすぐった。
「……ぅ、ん……?」
目を覚ますと、ベッドの上。
窓の外はすっかり明るくなっている。
昨夜は……確か深夜に帰宅してそのまま寝ちゃったんだっけ……?
……なんで寝間着に着替えてるんだろう?
疲れて眠くて仕方なくて、ベッドに沈み込んだような気がする。
その前に無意識に着替えたのかと思ったが、それにしては髪や身体まできれいになっているのが奇妙だった。
帰ってすぐにベッドで寝た……気がする。
……あれ?
でも恵くんに「おかえり」って言ってもらった。
あとお風呂に入ってシャワーを浴びたような……
でも私、頭洗ったっけ?
その後髪を乾かした記憶もない。
そもそもお風呂からどうやってベッドに戻ったの……?
うーんと首を傾げて昨夜の出来事を思い出そうとする。
「……!!」
ぼんやりとした記憶を手繰り寄せ、なずなはやっと昨夜の出来事をすべて思い出した。
帰ってきた後、寝てる恵くんに抱きついて、お風呂に入るなんてわがままを言って……
恵くんに頭を洗ってもらって、シャワーで流してもらって、
つ、つまり一緒にお風呂に入ったということで……!?
その後、頭を拭いてもらって乾かしてもらって、ベッドまで運んでもらって……!
……確か帰ってきたのは深夜2時を過ぎていたはず。
そんな時間帯に彼を起こしたばかりか、いろいろと世話までかけてしまっていた!?
サーッと血の気が引いていく。