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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第7章 このリセットは強くある為に


考えるような、呆れるような声でじっと見ている中で何本か指先から垂れ下げた怒髪天が皿の上の血液を上に吸い取るように少しずつ赤く染まっていく。
ちらちらと悟と実験の様子を目で行き来させながら自身でどうしたいかと決定付けていく。これは意志の問題だから。

『ほら、一族が髪と血が呪いだとか祟りだとか引き継がれてるじゃん?そうでなくとも、呼び出してる式髪で刃物を巻き付ければ呪具になる……ってことはだよ?よく考えたらさー…元より春日の血を利用してしまえば良いんだよ』
「へーへー、頑張って練習してねー」
『あっ、こいつ期待してないな。サンドボックスみたいなモンだって言ってたじゃんどっかの誰かさんが、』

少しばかりムキになって、私だって色々と考えているのだと伝えようとした所でパキ、と甲高い音。
口喧嘩とまでは行かないやり取りで悟ばかり見ていたのを音の根源へと移せば、つららのように鋭利になった白と赤が混じったモノが皿と机を貫いていた。
机を貫通する朱と白の禍々しいつららを、もう片手、指先で弾く。コン、コンと硬そうな音と机に響くその衝撃。
これにはその実験場所からお互い同じタイミングで目を合わせてしまった。

「うそーん…本当にやっちゃうもん?」
『まさかの結果だけれど。これを何かに活かせればねー…血も出し過ぎれば術式で回復すれば良いんだし』

反転術式を解除すると、纏わり付いていた私の血液が重力に従ってぼたた、と音を立てて落ちる。急いでティッシュで拭いた。こればかりは私の血だ、一緒に戻せないから血まみれになる。
……机に穴開けてしまったけれどガムテでも貼っとけば良いかな、これ。血を拭き、穴を開け割った皿を処分しに立ち上がったりする中で悟は"ハルカ"と私の名前を呼んだ。カチャ、と音を立てて危険物を置き私は悟の元に小走りに戻る。

悟は真剣な表情だった。その穴を開けた机を挟んださっきまで座っていた位置にまた私は座る。さっきまで座っていたから私の体温がまだ床に残っている。
あぐらをかこうとしたけれど、ふざけている事の多い悟が真剣であるから私は思わず正座へと座り直した。
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