第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹
ハルカだってこの界隈では貴重な人事だ。一ヶ月も過ぎる中で少し早いけれど硝子の休み調整から入ってもらわないと、上からも煩いし……。
もちろん蒼空は好きだよ?僕にもハルカにも、みんなに抱っこされてにこにこ笑って本当に天使みたいでさ!邪険に扱うわけじゃないけど、ずっと息子ひとりに構って居るわけにはいかないんだ。普通、家族って言ったら一人とか二人って子供が居るじゃん?僕らはそれ以上、もっと家族(子孫)が欲しいんだ。
……昔の人ってどうしてたんだろうねえ?子沢山でさ、狭い家でどうやって作ってたんだろう?
僕らの生産過程はやたらと激しいからねー、きっと何事だ?って子供を起こしちゃう。その時の言い訳もプロレスごっこしてるって言おうかと頭に入れてはいるけれど、やっぱりそういうものは子供には見せたくないもので…。
時々の育児や激務からの開放と、新しい家族を作るための時間を作ってる間は、信用できる者に家族を見て貰いたい。
そんな考えをマンションでの夕食時、ハルカに僕は伝えた。「時々、五条家に仕える人間に蒼空を預けよう」って。
蒼空は静かにしてる。キャスター付きの手頃な台にバスケットを嵌め込んで、母親が見える状態にしてるからハルカの側にべったり。ハルカもハルカで蒼空から目を離さないしね……、今までは僕だけが独占してた隣の立場と視線。ちょっと息子に妬いちゃうなあ…。
ハルカが息子から僕を見上げる。少し疑わしいって表情。
『……それ、大丈夫なの?』
「ん?」
ハルカの視線は僕からまたバスケットの中へと戻った。少し僕の提案が信用出来るかって疑ってる。でもバスケットの中で眠る、最近の僕らのトレンドベイビーを見れば、やっぱり天使に絆されて疑う気持ちが吹っ飛んで微笑んじゃってる。
お腹いっぱいになって、おむつも変えて。眠る前にギャン!と泣いた後にすやすやと眠ってる僕にそっくりなかわいい息子!